直したうつわの使い方

新米を金継ぎした器で美味しくいただく

金継ぎで直された、麦の模様の茶碗
新米の季節、金継ぎした茶碗でまた一杯を

新米が出回るこの季節は、一年の中でもご飯茶碗の出番がもっとも華やぐ時期かもしれません。炊きたての湯気とともに、いつもの茶碗によそった一杯が、どこか特別な味わいに感じられる方も多いのではないでしょうか。

けれど、長年使ってきたお気に入りの茶碗の中には、欠けやヒビが入ったまま、戸棚の奥にしまわれているものもあるかもしれません。毎日使うものだからこそ、傷が気になって手が伸びにくくなり、気づけば別の器で代用する習慣がついてしまっていた、というお話をよく伺います。朝晩必ず使う器だからこそ、後回しにされやすいのかもしれません。

新米の季節に、その一杯をどう迎えるか

新米は、一年のうちでも限られた時期にしか味わえません。だからこそ、その一杯をどの器でいただくかは、思っている以上に食卓の印象を左右します。普段づかいの器だからこそ、欠けたまま使い続けるのではなく、気持ちよく手に取れる状態で、新米の季節を迎えていただきたいと思います。

金継ぎで直された、灰色の茶碗
普段づかいの一客にこそ、金継ぎの景色が映えます

毎日使う一客も、特別な日の一客も

毎日ひとりで使う普段の茶碗もあれば、来客の際にだけ取り出す揃いの茶碗、お祝いにいただいた思い出の一客もあるかと思います。使う頻度は違っても、どちらも「欠けたから」という理由だけで出番を失ってしまうのは、もったいないことです。とくに人からいただいた茶碗や、長く連れ添ってきた一客は、買い直すという選択肢がそもそも馴染みにくいものでもあります。

手に馴染んだお茶碗だからこそ、直して使いたい

日々使う茶碗は、持ちやすさや重み、口当たりなど、使い込むほどに手に馴染んでいきます。新しい器に買い替えても、長年使ってきた一客ほどしっくりくることは少ないものです。レストーレにも、「新しい茶碗を買い足すより、この茶碗をまた使いたい」というご相談をいただくことが多くあります。

欠けやヒビが入った茶碗は、使うたびに少し気を遣ったり、来客の前では出しにくく感じたりすることもあるかもしれません。金継ぎを施すことで、そうした心配を手放し、毎日の食卓に戻していただけます。これまでレストーレでお直ししてきたお茶碗にも、長年使われてきたからこその風合いが残っており、直したあとも変わらず日々の食卓で使われているとのお声をいただいております。

同じ形の茶碗を買い足すことはできても、使い込んだ手触りや、ご自身の手に合わせて削れていった高台の感触までは、新しい器では代えがたいものです。欠けた部分だけを継いで、それ以外はそのままの姿を保てることも、金継ぎならではの魅力のひとつだと感じています。

金継ぎで直された、動物の絵柄の茶碗の高台部分
高台のひびも、そのままの姿を保ちながら継いでいきます

継がれた景色とともに味わう、新米の一杯

金継ぎを施した茶碗でよそう新米のご飯は、欠ける前の器とは、また違った表情を見せてくれます。継いだ線は、傷を隠すためのものではなく、その器が歩んできた時間を映す景色として残ります。

炊きたてのご飯をよそうたびに、その景色にふと目がいく。そんな何気ない瞬間の積み重ねが、日々の食卓を少しずつ豊かにしてくれるように思います。新米の時期だからこそ、あらためてその一杯を、直した器で迎えてみていただきたいと思います。

ご家族で食卓を囲む場面でも、継がれた茶碗がひとつあることで、自然と会話のきっかけが生まれることもあります。「この茶碗、直したんだよ」という一言から始まる会話は、ただ新しい器を並べるだけでは生まれにくいものです。

直したあとの、お手入れについて

金継ぎを施した器を、普段どのように使えばよいのか、不安に思われる方も少なくありません。金継ぎした器には、いくつか避けていただきたい扱い方があります。100度を超える高温に5分以上さらすこと、修理した部分を強くこすること、長時間水に浸けたままにしておくこと、そして電子レンジ・食洗機・漂白剤のご使用です。

こうして並べると、扱いにくい器のように感じられるかもしれません。けれど、難しく考えていただく必要はありません。使い終えたあとすぐに、やわらかいスポンジで優しく洗っていただくだけで、日々の食卓で問題なくお使いいただけます。

金継ぎで直された、書の絵柄の茶碗のふち
日々の食卓で、変わらず使い続けていただけます

まとめ 毎日使う茶碗こそ、金継ぎでもう一度

欠けたりヒビが入ったりした茶碗を買い替える前に、金継ぎという選択肢を思い出していただければと思います。毎日使うものだからこそ、直して使い続けることには、新しい器を買い足す以上の愛着が育っていくように思います。

新米の季節、炊きたてのご飯をよそう一杯を、ぜひ継がれた景色とともに味わっていただければと思います。レストーレでは、そうしたお茶碗のご相談も承っております。

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