多くの方が片付けをしている中で「割れたまま、ずっとしまい込んでいた器」を見つけ出します。欠けた湯呑み、ヒビの入った小鉢、持ち手が取れたままのマグカップ。普段は目に入らない場所にしまい込まれていたそれらが、ふとした片付けのタイミングで手に取られ、「このまま処分するべきか、直すべきか」という問いに姿を変える瞬間です。
レストーレにも、「片付けをしていたら出てきて」「割れた直後は悲しくて、そのまましまっていたんです」というご相談が増えてまいります。器そのものに罪はなく、ただ、直すタイミングを見つけられずにいただけ、ということが少なくありません。日々の暮らしに追われるなかで、割れた器は後回しにされやすく、気づけば一年、二年と棚の奥で眠ったままになってしまいます。
「もう手遅れかもしれない」「今さら直すのも気が引ける」。そう感じて、結局そのまま戻してしまう方や処分してしまう方も多いのですが、割れてからどれだけ時間が経っていても、金継ぎでの修理をご検討いただくことは可能です。むしろ、片付けの中で再び手に取ったその瞬間こそ、見つめ直す良い機会になります。
なぜ、今のうちにご相談いただきたいのか
金継ぎには、仕上がりまでの時間の異なる二つの道があります。クリスマスやお正月という具体的な日付が見えているこの時期は、どちらを選ぶかによって、間に合う・間に合わないが大きく分かれてまいります。
本格金継ぎは、漆の時間に寄り添う技法
本物の漆を使って接着し、欠けを埋めていく本格金継ぎは、漆が乾き、固まっていく時間そのものを尊重する技法です。レストーレでは、仕上がりまでおよそ160日をいただいております。じっくりと時間をかけるからこそ、使うたびに手に馴染んでいく丈夫さが生まれますが、その分今からのご依頼ですと、クリスマスやお正月にちょうど間に合わせる、というご希望には添えません。今からのご依頼では、新学期を迎える桜の時期の仕上がりになります。
クイック金継ぎなら、冬の行事に間に合わせやすい
一方、クイック金継ぎは、仕上がりまでおよそ30日を目安にしています。漆のみで仕上げる本格金継ぎとは工程が異なりますが、「クリスマスの食卓に」「お正月のお雑煮椀を、また家族で囲みたい」というように、日付が決まっている場に間に合わせたい方には、こちらが現実的な選択肢になります。
今のうちにご相談いただければ、年末年始の行事に、器を間に合わせられる可能性がまだ十分に残っています。逆に、年末になってからのご依頼では、クイック金継ぎであっても、お正月のタイミングには間に合わなくなってしまいます。
年に数回しか使わない器だからこそ
来客用の揃いの器、お正月だけ出す漆器のお椀、年に一度のクリスマスディナーのための一客。そうした器は、日常づかいの食器以上に、「割れたまま」で止まってしまいやすいものです。出番が少ない分、直すきっかけも巡ってきにくく、気づけば数年、しまい込んだままということも珍しくありません。
けれど、年に数回しか使わない器だからこそ、その一度の機会に、また美しい姿で食卓に迎えられるかどうかは、一年の印象を左右します。欠けたままのお椀でお雑煮をよそうのと、継がれた景色を眺めながらよそうのとでは、同じ一杯でも、そこに流れる時間がまったく違ってまいります。
お正月に親族が集まる食卓や、クリスマスに久しぶりに訪れるお客様を迎える場面では、器そのものが会話のきっかけになることもあります。金継ぎが施された一客が食卓にあることは、割れてしまった過去ではなく、大切に直して使い続けてきた時間を物語るものになります。ふとした片付けは、そうした器を見つけ出す、良いきっかけになるのかもしれません。
まとめ 早めのご相談が、うつわとの再会を近づけます
片付けで見つかった割れたままのうつわは、処分する前に、一度立ち止まって見つめ直していただきたいと思います。本格金継ぎとクイック金継ぎ、それぞれに異なる時間の流れがあり、決まったイベント行事に間に合わせたい場合は、早めのご相談が何より大切になります。
今年の片付けで見つかった器が、新たに金継ぎの景色をまとって食卓に戻ってくる。そんな再会を、レストーレはお手伝いできればと思っております。
縁継 ~en-tsugi~
割れたかけらが出会い、新しい「縁」になる。
時代も産地も異なる器の破片を、
金・漆・螺鈿(らでん)で一つに継ぎ合わせるアート作品。
アート作品販売中
受注制作も承っております