朝晩の空気がひんやりと感じられるようになると、コーヒーや紅茶、ほうじ茶など、温かい飲み物を手にする時間が増えてきます。そんなとき、いつも使っているマグカップがあるかないかで、ひと息つく時間の心地よさは案外大きく変わるものです。
けれど、長年使ってきたマグカップの持ち手が欠けていたり、口をつける部分にヒビが入っていたりして、気づけば棚の奥にしまい込んだまま、という方も少なくありません。毎日のように使う器だからこそ、傷が気になって手が伸びにくくなってしまうのかもしれません。マグカップは持ち手という突起があるぶん、お皿や茶碗以上に欠けやすい器でもあります。
寒い季節、マグカップに手が伸びる理由
気温が下がるこの時期は、両手で包み込めるマグカップの出番が自然と増えていきます。温かい飲み物を注いだときの、じんわりと伝わる温もりは、ティーカップや湯呑みとはまた違った安心感があります。だからこそ、欠けたりヒビが入ったままのマグカップで過ごすのは、少しもったいないことのように思います。
欠けたマグカップが手放せない理由
マグカップは、旅先で見つけたもの、誰かからいただいたもの、毎朝使ってきて手に馴染んだものなど、一客ごとに思い入れが強い器でもあります。同じようなデザインのものを買い直すことはできても、長く使ってきたその一客の重みや口当たりまでは、新しい器では代えがたいものです。レストーレにも、「気に入って長年使っているので、どうにか直して使いたい」というご相談を、マグカップに関してよくいただきます。
結婚祝いや誕生日にいただいた一客、子どもが選んでくれた一客など、贈り物として受け取ったマグカップも少なくありません。そうした器ほど、欠けたからといって簡単に手放す気持ちにはなりにくいものです。
金継ぎとプラチナ継ぎ、マグカップに合う継ぎ方
マグカップの金継ぎというと、金色の継ぎ目を思い浮かべる方が多いかもしれません。ただ、金継ぎには、プラチナ継ぎという選択肢もあります。白銀色の継ぎ目は、モノトーンのマグカップや、シンプルなデザインの器にもなじみやすく、金の継ぎ目とはまた違った表情を見せてくれます。
どちらの継ぎ方が似合うかは、マグカップの色や質感、普段の食卓の雰囲気によっても変わってきます。白地のマグカップには金の継ぎ目が映えやすく、グレーや黒などシックな色合いのマグカップには、プラチナ継ぎの落ち着いた輝きがよく馴染みます。レストーレでは、器に合わせてどちらの仕上がりが馴染みやすいか、ご相談いただきながら進めております。
温かい飲み物と過ごす、継がれたマグカップのある日常
継がれたマグカップでいただく一杯は、欠ける前とはまた違った景色を手の中に生んでくれます。金やプラチナの線は、傷を隠すためのものではなく、その器がこれまで歩んできた時間を映すものとして残ります。
朝の忙しい時間に淹れる一杯も、夜、ひと息つくための一杯も、継がれたマグカップを手にすることで、少しだけ特別な時間に変わっていくように思います。寒さが増していくこれからの季節だからこそ、そのぬくもりを、直した器であらためて味わっていただきたいと思います。
来客の折に出すときも、継がれたマグカップはちょっとした話題になります。「これ、直したんです」という一言とともに、器にまつわる時間を分かち合えることも、金継ぎならではの楽しみ方のひとつです。
直したあとの、お手入れについて
金継ぎ・プラチナ継ぎを施したマグカップには、いくつか避けていただきたい扱い方があります。100度を超える高温に5分以上さらすこと、修理した部分を強くこすること、そして電子レンジ・食洗機・漂白剤のご使用です。
こうして並べると、扱いにくい器のように感じられるかもしれません。けれど、難しく考えていただく必要はありません。熱すぎる飲み物を注いだままさらし続けることを避け、使い終えたあとはやわらかいスポンジで優しく洗っていただくだけで、日々問題なくお使いいただけます。
まとめ 毎日のマグカップこそ、金継ぎでもう一度
欠けやヒビが入ったマグカップを手放す前に、金継ぎ、あるいはプラチナ継ぎという選択肢を思い出していただければと思います。毎日手にする器だからこそ、直して使い続けることには、新しいマグカップを買い足す以上の愛着が育っていくように思います。
寒さが深まるこの季節、温かい飲み物とともに過ごす時間を、ぜひ継がれたマグカップで味わっていただければと思います。レストーレでは、そうしたマグカップのご相談も承っております。
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